Teono

自分の中での曖昧な情報や知識を更新しています。たまに調査記事を書きます。

「内部留保を使って給与をあげよ」は正しいのか

共産党系の定番のネタである「内部留保を使って給与をあげよ」という言説が今年もあった。これに対する正確な回答はどういうものなんだろうか。

> 共産・小池氏「トヨタ内部留保、使い切るのに5千年」(朝日新聞DIGITAL)
https://www.asahi.com/articles/ASL6Y7JW3L6YUTFK021.html

 

該当のトヨタの決算書を見ると、上記記事で指摘してある内部留保とは貸借対照表の純資産の部にある「利益余剰金 19,473,464百万円 = 約20兆円」のことだと推測されるので、ここでは内部留保とは「利益剰余金」のこととする。

> トヨタ自動車株式会社 2018年3月期 決算要旨
https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2018/year_end/yousi.pdf

 

利益剰余金の内訳は、現金や預金、土地などであり、現金ではない。

給与の支払いは現金で行われるため、利益剰余金=内部留保のすべてが現金ではない以上、単純に利益剰余金=内部留保が多いからといって給与をあげられるわけではない。

 

この辺は会計の知識がいるが、貸借対照表の利益剰余金に言及した相手に会計の知識を求めてもいいだろう。内部留保という言葉のみを知っている相手には、普通にそれは現金のことではない、と説明すれば良いか。

 

内部留保とかいう言葉を使わず、現金(トヨタであれば連結約3兆円)について指摘しておけば、一応の筋は通った指摘にはなるのかもしれない。もちろん、企業は運転資金について考える必要があるので、手元にある現金のすべてを自由に使えるわけではないが。