日本の性犯罪 2018
先日(少年犯罪は増加したか)に続き、犯罪について。
ポルノが性犯罪を助長する、という話は本当だろうか。
日本がポルノ大国である、と仮定して、強姦の発生件数を見てみる。
> 平成29年版 犯罪白書 第1編/第3章/第4節
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_1_3_4_0.html
グラフでは最新の2014年の発生率(人口10万人あたりの発生件数)で比較すると、以下のようになる。
英国(49.4) > アメリカ(36.9) > フランス(19.0) > ドイツ(9.1) > 日本(1.0)
本サイトの事実確認の記事ではなるべく感想はいいたくないが、この結果をみる限りでは、日本のことをボロクソに言うBBCは自国について少しは真摯に向き合ってほしいと言いたくもなる。
ちなみに、日本がポルノ大国であるかは、具体的な統計データを探すことができなかったので不明であった。
少年犯罪は増加したか 2018
先日(凶悪犯罪は増加したか)に続き、犯罪について。
少年犯罪は増加した、という話は本当か。
凶悪犯の昭和57年以降の少年犯罪数を確認する。
> 平成29年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_1_1_2_2.html
例えば、凶悪犯の検挙人員数を、昭和57年、平成10年、28年で比べると、次のようになる。
殺人:
84 -> 115 -> 51
強盗:
733 -> 1,538 -> 328
放火:
211 -> 89 -> 53
強姦:
851 -> 455 -> 106
データから、平成28年の少年による凶悪犯罪数は、全般としては減少していると言える。
凶悪犯罪は増加したか 2018
先日(犯罪は増加したか)に続き、犯罪について。
凶悪犯罪は増加した、という話は本当か。
警察白書によると、凶悪犯とは殺人、強盗、放火、強姦(かん)のことをさす。
> 平成29年版 警察白書
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h29/honbun/index.html
犯罪白書をみると、凶悪犯罪の推移を見ることができる。
(統計の手法が変わったのか平成29年版では昭和57年からのデータのみがあったので、昭和50年の白書も参照する)
> 平成29年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_1_1_2_2.html
> 昭和50年版 犯罪白書 第1編/第1章/第1節/1 ... 他
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/16/nfm/n_16_2_1_1_1_1.html#H001005E
例えば、昭和25年、45年、平成元年、28年で比べると、次のようになる。
グラフ上では、昭和50年の資料は「発生件数」、平成29年の資料は「認知件数」。発生件数と認知件数はニアリイコール。
殺人:
約1,800 -> 約2,000 -> 1,308 -> 895
強盗:
約9,000 -> 約3,000 -> 1,586 -> 2,332
放火:
(データ探せず) -> 1,587 -> 2,291 -> 914
強姦:
約2,800 -> 約5,000 -> 2,399 -> 989
データから、平成28年の凶悪犯罪数は、平成元年と比べると強盗のみ増加していると言えるも、全般としては減少していると言える。
* ここまで書いといてなんですが、警察の資料が普通にありました。これを読めば完璧だと思います。
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h12/h120101.pdf
犯罪は増加したか 2018(刑法犯)
犯罪は増加した、という話をリアルでもネットでも聞くことがある。
本当だろうか。
犯罪白書をみると、刑法犯の数についてのグラフを見ることができる。
刑法犯の認知件数は、昭和21年から40年まで横ばい、その後減少がみられるも、55年ごろから増加、平成8年から14年までは大きく増え、それ以降は減少している。
刑法犯の検挙人員は、昭和21年から26年まで増加、その後減少がみられるも、55年ごろから微増、平成元年に減少したのち、15年まで微増、それ以降は減少している。
> 平成29年版 犯罪白書 刑法犯 認知件数・検挙人員・検挙率の推移
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_1_1_1_0.html
例えば、昭和25年、45年、平成元年、28年で比べると、次のようになる。
刑法犯の認知件数:
1,384,222 -> 1,279,787 -> 1,673,268 -> 996,120
刑法犯の検挙人員:
607,769 -> 380,850 -> 312,992 -> 226,376
グラフから、刑法犯の認知件数・検挙人数は昭和21年から平成28年において、平成28年は認知件数・検挙人数は過去最低であり、犯罪数は減少していると言える。
ちなみに刑法犯罪の発生率(人口10万人中の発生率)は昭和25年、45年、平成元年、28年で比べると、次の通り。減っている。
1,756.1 -> 1,233.9 -> 1,358.1 -> 784.8
「内部留保を使って給与をあげよ」は正しいのか
共産党系の定番のネタである「内部留保を使って給与をあげよ」という言説が今年もあった。これに対する正確な回答はどういうものなんだろうか。
> 共産・小池氏「トヨタの内部留保、使い切るのに5千年」(朝日新聞DIGITAL)
https://www.asahi.com/articles/ASL6Y7JW3L6YUTFK021.html
該当のトヨタの決算書を見ると、上記記事で指摘してある内部留保とは貸借対照表の純資産の部にある「利益余剰金 19,473,464百万円 = 約20兆円」のことだと推測されるので、ここでは内部留保とは「利益剰余金」のこととする。
> トヨタ自動車株式会社 2018年3月期 決算要旨
https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2018/year_end/yousi.pdf
利益剰余金の内訳は、現金や預金、土地などであり、現金ではない。
給与の支払いは現金で行われるため、利益剰余金=内部留保のすべてが現金ではない以上、単純に利益剰余金=内部留保が多いからといって給与をあげられるわけではない。
この辺は会計の知識がいるが、貸借対照表の利益剰余金に言及した相手に会計の知識を求めてもいいだろう。内部留保という言葉のみを知っている相手には、普通にそれは現金のことではない、と説明すれば良いか。
内部留保とかいう言葉を使わず、現金(トヨタであれば連結約3兆円)について指摘しておけば、一応の筋は通った指摘にはなるのかもしれない。もちろん、企業は運転資金について考える必要があるので、手元にある現金のすべてを自由に使えるわけではないが。
徳島の阿波踊り問題 市長は誰のために踊っているのか
徳島の阿波踊りで、市長が総踊りの中止を求めたに関わらず、総踊りは行われたようです。市長が中止を求めた理由は「総踊りが他の3演舞場のチケット販売を低迷させるから」というものでした。
> 中止求めた実行委に反発 阿波踊り「総踊り」場外で強行(朝日新聞DIGITAL)
https://www.asahi.com/articles/ASL8F3D6XL8FPTIL00P.html
徳島の阿波踊りは、昨年までは「徳島市観光協会」によって運営されていたようです。
しかし、累積赤字や不透明な会計処理により、2018年に徳島市が債権を代理返済することで破産手続きを行うことになり、その後の運営を、徳島市が主導する実行委員会が引き継ぐことになりました。
徳島市観光協会を破産させるに至った経緯は次の報告書に書かれています。
不明瞭な会計と黒字に転じる見込みが少ないことがわかります。
> 阿波踊り事業特別会計の累積赤字の解消策等に関する調査報告書
https://www.city.tokushima.tokushima.jp/shisei/machi_keikaku/hokoku_20180205.files/20180207142746.pdf
阿波踊りを黒字化するには、大きな収入源である「チケット販売」を拡大しコストを最小化する努力が必要ですが、チケットについては徳島新聞が優先的に良い席のチケットを保有しているという情報もあります。(2017年にメディアにいろいろ言われていました)
この情報が正しい場合、まずは徳島新聞からチケットを取り戻さなくては、収入の拡大は難しいでしょう。
> 徳島市 議事録 平成29年第 2回定例会-06月12日-07号
http://voices.city.tokushima.tokushima.jp/voices/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=2,3&KGTP=1,2,2&TITL_SUBT=%95%BD%90%AC%82Q%82X%94N%91%E6%81@%82Q%89%F1%92%E8%97%E1%89%EF%81%7C06%8C%8E12%93%FA-07%8D%86&SFIELD1=HTGN&SKEY1=%93%BF%93%87%90V%95%B7&SSPLIT1=+%2B%2F%21%28%29-&KGNO=129&FINO=589&HUID=25096&UNID=K_H290612000711
2018年の阿波踊りは、徳島市が主導する実行委員会が引き継いだそうですが、その体制は例年通り、つまり徳島新聞の影響がある中で行われました。
市長は「総踊りが他の3演舞場のチケット販売を低迷させるから」という理由で総踊りの中止を要請しましたが、徳島新聞が優先的に良い席のチケットを確保できるのであれば、まずは徳島新聞の権益を奪うのが筋というものでしょう。
徳島市観光協会が管理していたドル箱、「阿波おどり会館・眉山ロープウェイ」の権限が、2017年に徳島新聞社とエアトラベル徳島による共同団体に移ったこと、および、徳島市観光協会の債権を税金で代理支払いして、徳島新聞の影響を残しながらも、綺麗な「阿波踊り事業」を生み出したことなど、なんだか多々想像してしまいそうです。
東京の電源はどこにあるのか 2018
2018年の東京は、まあ暑かった。今も暑い。
クーラーをガンガンにかけながら、東京の電力消費についてみていると次のような記事があった。
> 猛暑でクーラー全開だけど原発動いてないのに東京電力管内の電気は足りている現実
http://blogos.com/article/313056/
BLOGOSなのでそこまで真面目に見る必要はないのかもしれないが、同様の主張をする人はたまにいるので、気になって調べてみた。
調べるまでもなく、日経が記事を出していたが・・・
> 関電、東電・中部電から電力融通受ける 猛暑で需給逼迫
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33111470Y8A710C1LKD000/
東電の発受電電力量は次の通り。
> 発受電電力量
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/generated-purchased-j.html
2015年時点で発電量の1/4程度の電力を他社から受けている。
主力の発電所である火力発電所が最近できたわけではないので、2018年においても電力の融通は受けているだろう。
> 東京電力設備一覧
http://www.tepco.co.jp/tp/list/index-j.html
さらに調べて見ると、東電の電力供給設備と電源構成比については次の通り。
電力供給設備(東電のみ)
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/output-energy-source-include-j.html
2015年で、原発0%、石炭18%、石油6%、その他ガス2%、LNG/LPG65%、新エネルギー3%、水力6%
電力供給設備(含他社受電)
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/generation-capacity-include-j.html
2015年で、原発16%、石炭8%、石油14%、その他ガス2%、LNG/LPG37%、新エネルギー4%、水力19%
要するに原発は稼働していないけれども、原発で発電した電力を使って東電は電力供給している。
結論としては・・・
「東電の電力は足りていない。他の電力会社の原子力発電所を含めた設備から電力をもらっている。」
というものでした。